外壁の仕上げ材にはさまざまな種類がありますが、その中でも「モルタル」は日本の住宅で古くから使用されてきた外壁材のひとつです。モルタルは、強度や耐久性に優れており、デザインの自由度も高いため、現在でも多くの建物で採用されています。
この記事では、外壁のモルタルとは何か、その特徴やメリット・デメリット、施工方法、メンテナンスについて詳しく解説します。
1. モルタルとは?
モルタルは、セメント・砂・水を混ぜ合わせた建築材料のことを指します。外壁材として使用される際には、下地に塗り重ねることで強固な外壁を形成します。
モルタルは単体で使用されることは少なく、通常は上から塗装を施したり、吹き付け仕上げを行ったりすることで、美観や防水性を高めます。
1-1. モルタルとコンクリートの違い
モルタルと似た建築材料として「コンクリート」がありますが、両者には明確な違いがあります。
項目
モルタル
コンクリート
主成分
セメント・砂・水
セメント・砂・砂利・水
強度
中程度
高い
用途
外壁仕上げ、タイルの下地
建物の構造体(基礎・柱・床など)
モルタルは砂利を含まないため、滑らかで加工しやすく、外壁や仕上げ材として適しています。
2. モルタル外壁のメリット
モルタル外壁には多くのメリットがあり、特にデザイン性の高さや耐火性が評価されています。
2-1. デザインの自由度が高い
モルタルは塗り方や仕上げ方法を工夫することで、多様なデザインを実現できます。
リシン仕上げ:細かい砂を吹き付けるザラザラとした質感
スタッコ仕上げ:厚みのある塗装で独特な凹凸をつける
スムース仕上げ:平滑でシンプルなデザイン
このように、モルタル外壁は仕上げ方によって異なる印象を与えることができます。
2-2. 耐火性が高い
モルタルは無機質な素材であるため、燃えにくい性質を持っています。万が一火災が発生した場合でも、モルタル自体が延焼を防ぐ役割を果たします。
2-3. 高い耐久性
モルタルは適切な施工とメンテナンスを行えば、50年以上の耐久性を持つことも可能です。特に、塗装や防水処理を定期的に行うことで、長期間にわたって美観を維持できます。
3. モルタル外壁のデメリット
モルタル外壁には多くのメリットがありますが、一方で注意すべきデメリットも存在します。
3-1. ひび割れ(クラック)が発生しやすい
モルタルは乾燥や温度変化の影響を受けやすく、ひび割れ(クラック)が発生しやすいというデメリットがあります。特に、新築時には建物の構造が安定するまでに細かいひび割れが生じることがあります。
3-2. 施工に手間と時間がかかる
モルタル外壁は職人の手作業による施工が多いため、工期が長くなる傾向にあります。また、施工の質が職人の技術に左右されるため、経験豊富な業者に依頼することが重要です。
3-3. 防水性が低い
モルタル自体には防水性がないため、塗装や防水処理が必要になります。定期的に塗り替えを行わないと、雨水の浸入によって内部が劣化するリスクがあります。
4. モルタル外壁の施工方法
モルタル外壁の施工は、以下の手順で行われます。
下地処理:木材や金属で構成された下地にラス網(金網)を貼る。
モルタルの塗布:数回に分けてモルタルを塗り、しっかりと乾燥させる。
仕上げ処理:リシン吹き付け、塗装、タイル貼りなどを行う。
最終チェック:ひび割れや塗りムラがないか確認し、仕上げを整える。
施工には時間と手間がかかるため、しっかりとした計画が必要です。
5. モルタル外壁のメンテナンス方法
モルタル外壁を長持ちさせるためには、定期的なメンテナンスが重要です。
5-1. 定期的な塗装メンテナンス
モルタル外壁は塗装によって防水性を確保しているため、10〜15年ごとに塗り替えを行うことが推奨されます。
5-2. ひび割れの補修
ひび割れが発生した場合は、早めに補修することが重要です。小さなクラックならシーリング材で補修できますが、大きなひび割れは専門業者に相談するのが安心です。
5-3. 高圧洗浄による清掃
外壁の汚れを落とすために、高圧洗浄を定期的に行うことで、カビやコケの発生を防ぐことができます。
6. まとめ
モルタル外壁は、
デザイン性が高く、自由な仕上げが可能
耐火性・耐久性に優れている
定期的なメンテナンスが必要で、ひび割れが発生しやすい
といった特徴を持つ外壁材です。